2001年、ファブレスは初のオリジナルホイール、プロファンドを発表。F1マシンのホイールを製造する8000tのプレス機で作られた珠玉の鍛造3ピースは、スタイル性と機能性を両立させた画期的なホイールとしてこれ以上にない賞賛と共に市場に受け入れられた。その後、全日本GT選手権にも投入されたエクスパンド・レーンシグ、フェラーリのためにデザインされたデトナトーレ・メッシュなど、数々の銘品を生み出してきたのは周知の通り。頑なに機能性を極める一方、ファブレスが業界に影響を与えたのは、究極のディープリムをはじめとした数々のトレンドを牽引してきたことであろう。
そして、10周年を迎える2007年に登場のヴェンティである。“ヴェンティ”とはイタリア語で20という意味。ご覧の通り、20本ある細いスポークのうち、10本がこれまでの10年間を、残りがこれからの10年間を表している。コンセプトしかりデザインしかり、実にシンプルであるが、これまでになかった飽きのこないデザインはファブレス初の試みといえる。しかし、未来永劫に渡ってマスターピースであり続けるために、これほど考え抜かれたデザインはないだろう。だからこそのアニバーサリーモデルなのである。
この記念モデルは一見するとフィンタイプに見えるが、前述の文章でスポークと呼んでいるのには理由がある。半分の10本はリムエンドに向かって延びているのに対し、残りのスポークは緩やかなカーブを描くように円周に向かって落ち込んでいる。つまり、ディープリムというファブレスお家芸のステージの中で10本のスポークによる2つのデザインが融合する複雑な造形となっているからである。
そして、この2種類のデザインによるコントラストをより引き立たせているのが新時代のトレンドともいえるブラックポリッシュの採用である。SMC(スーパーメタルコーティングブライトクローム)とブラックポリッシュによるカラーコーディネートは、ある時はポリッシュの10本が浮かび上がらせ、じっくり見ると20本のスポークが確認できるというギミックを生み出す。ブラックポリッシュの他に、オプションとしてシルバー、ブロンズ、パール(いずれもポリッシュ)の3色を用意しており、組み合わせによって違った印象を与えるのも興味深い。
シンプルにして複雑な造形、繊細にして絶対の存在感。これからの10年間もファブレスがトレンドをリードしていくことの証がこのホイールに宿っている。
※オプション: センターキャップ 3,300円 (本体価格: 3,000円)