柔らかなアールを描く5本スポークの「プロファンド」が幅広いレンジに対応する究極の万能ホイールとすれば、この「エクスパンド」はよりスポーツ志向を高めたホイール。
天地左右のバランスが取れた端整な6本スポークはより剛性面を高めるとともに美しいスポーツテイストを生み出す。さぞかし、スピード感のあるフォルムを形成してくれるだろう。
しかも、スポーツホイールとしての役割を十分に果たしながら、ドレスアップとしての高級感は少しも失われていない。セダン、ミニバン、グランドツーリング、スポーツカーetc…。「プロファンド」とは違った意味でどのカテゴリーにも合う汎用性はスポーツテイストとラグジュアリー性が高次元で融合しているからに他ならない。見え透いた、ありきたりのパッケージでは真のユーザーが納得しないことをファブレスは知っている。
特にスポーク部分への作りこみには細心の注意を払っている。限りなくシャープに、限りなく滑らかにデザインし、センターからアウターリムに向かって美しくアールを描く。さらにリム部分から自然に広がりを持たせることでスマートさに加えてボリュームのあるシルエットを作り出した。
究極の6本スポークを作る。この信念の元にファブレスは実に細やかなデザインメイクを使用した。
センターディスク面はできるだけ小さく、スポークはより細くしなやかに。スポークに意匠されたカットラインが立体感を生み出す。そして、スポーク間のリム部分の立ち上げも極力寝かせることでいかにスポークを長く見せるか、をテーマとする。
さらに「エクスパンド」から採用されたセンターカバーの落としこみがよりスポークの長さを際立たせる。技術的に極めて難しいとされていた勘合部の整合性も完璧に行うことで従来ではありえない視覚的効果を生み出した。まるで中心部にまでスポークがあるかのような錯覚を起こさせる。こうした極限までのデザイン性への追求もクオリティにこだわり、これまでの強度不足というデメリットを解消できたから。異なる技術とデザインのノウハウは全てひとつの目的のために。より完璧なスポークフォルムを作るため、である。
一方、こうした最高レベルの鍛造技術による超強度は鍛造ホイールに美しく威厳のあるデザインを可能とした。
また、ファブレスは2ピース、「エクスパンド」をしっかりと受け止める。従来の2ピースホイールにありがちであったビジュアル一辺倒なダミーピアスをあえて排し、2ピースらしさを最大限に生かした設計に。ダミーピアスを取り付けるための無駄なスペースを設けずリムの一部に見えるよう、限界まで寝かせることでスポークの長さをより強調。ごまかしやフェイクにはない、オリジナル性を貫くことで「本物を作る」というファブレスの確固たる信念を表した。
リムはF1用ホイールを制作する8000tプレス機を使った鍛造リム。ある意味、プロファンド以上のディープリム形状を持ち、世界最高深度を誇るアウターリムの迫力がただならぬオーラを作り出す。極限にまで高められたスポークのしなやかさとアウターリムの類を見ない威圧感が組み合わされ、単なるスポーツテイストから異次元の領域へと進化した。
【SLOW】スペシャルローディスク/【MID】ミッドディスク/【HI】ハイディスク